6
/13
SACHIE
KANAYAMA
かなやま さちえ
金山 幸恵
フローリスト、「RAFFINEE -les fleurs-」主宰
Q1.あなたの「My favorite Henry Dean」は?
Sablon L(サボロン L) ゴールド
透明感とゴールドの煌めき、それとぽってりとした厚みや柔らかな曲線が気に入っています。植物は花や葉だけでなく茎も美しい。その美しさも伝えたいのだけれど、丸見えだと茎の存在感が強くなりすぎる。そんなときに全体をバランス良く柔らかにまとめてくれます。
大きな花や枝ものをしっかりと受け止めてくれるかたちも、とても使いやすいですね。初夏の草花って縦に長いものが多いんですが、これは縦長の形状かつ横に広い口で支えるから、縦に伸びていくように活けられる。今の季節にぴったりなんです。
花の活け込みは、フラワーベースで決まると思うんです。料理ではお皿も重要なのと同じように、花を活けるときはフラワーベースも大切にしたい。だからフラワーベースは好きなものしか使わないと決めている。私の手元にあるHenry Deanは、どれもすごく惹かれるものがあって迎えたものです。
Q2.今回の活け込みのポイントは?
新緑が美しい初夏の瑞々しさや躍動感を表現しました。たくさんのカラフルな花が並ぶイベントのなかで、一つひとつの葉や実の美しさにフォーカスしたかったから、緑と白のみでまとめています。
特にまだ色付いていないフサスグリの実の瑞々しさが今の季節らしくて、フラワーベースのキラキラ感とすごく合う。そこに、ぽってりとした白妙のシャクヤク、弾む感じのビバーナム・スノーボール、くねくねと曲がって動きのあるグリーンミストを組み合わせました。それぞれの草花のかたちの面白さ、そしてゴールドの煌めきの向こうにある茎と水の美しさを感じてもらえたら嬉しいな。
Q3.Henry Deanの一番の魅力は?
たとえば最初はたくさんあった花が一本ずつ少なくなって当初のバランスが崩れても、ときには明るさ、ときにはおおらかさで全体をまとめてくれる力がある。まさにムードメーカーのようです。
職人さんが大切に作っているのが伝わってくるところも大好きです。お母さんが素手で握ったおにぎりって少し不恰好かもしれないけど、手袋をはめたり工場で成型したものよりも特別で美味しい。それと同じイメージで、人が想いを込めて作ったものは分かるものです。だから本来冷たいはずのガラスに温もりがある。色も面白いし、花を入れずに飾っていても綺麗です。民藝のように、日用品だけれど芸術品の美しさも備えていて、ただの道具じゃない。
どんな空間にも合うので、自宅ではいろんな場所に飾って日常のさりげないシーンを彩っています。キッチンではパリの蚤の市で見つけた薬瓶と合わせて、洗面室では透明感のあるもので水の美しさを楽しむ、ベッドやソファの側ではキャンドルをセットなど……。ブックエンドやペン立て、ペーパーナプキン入れとしても大活躍です。
PROFILE
大手フラワーショップにて店舗運営やブライダル装花に携わり、10店舗をまとめるチーフを務める。2008年、花に向き合うため渡仏し、フラワーデザイナー、斎藤由美氏や人気花店「Rosebud fleuristes」のヴァンソン・レサール氏をはじめ、トップフローリストの元で修行。2009年から「RAFFINEE -les fleurs-」として活動し、フラワーレッスン、フラワーショップや企業向けの講習、スタイリング、ブライダル装花のデザインなどを行う。現在も年に1度、1ヶ月以上渡仏し、ブラッシュアップを続けている。
HP:https://raffineelesfleurs.com
Instagram:@raffineelesfleurs
他のインタビュー記事をチェック